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「ふたば系ゆっくりいじめ 819 ムシゴロウ王国/コメントログ」 浦安鉄筋家族を思い出した -- 2010-06-16 19 05 35 なんというゲスおじいさん -- 2010-08-02 13 41 18 汚示威惨www -- 2010-11-01 12 36 25 イラストに爆笑したwww -- 2010-11-11 11 06 23 イラストがっ -- 2011-08-14 23 15 36 イラストwwww -- 2012-02-16 16 26 15 ムシゴロウの頭にまちょりーが! -- 2013-03-09 19 51 27 これさ、浦安鉄筋家族ならぬ、ゆらやす鉄筋家族ってかW -- 2014-04-29 14 57 57 吹いた -- 2016-09-04 15 46 19 ムシゴロウwww -- 2017-03-21 21 14 20 やりたい放題ww -- 2019-03-29 21 21 55
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プラネット・ゆース ~きめぇ丸~ 9KB 観察 考証 パロディ 希少種 自然界 独自設定 自然番組風 こんばんは、二行です。 ゆっくりの知られざる生態に迫る『YHKスペシャル プラネット・ゆース』。 本日は、その第二夜です。 (第一夜は、「wiki 594」一話完結に付き、未読でも、支障はありません) 内容には、『独自設定』『ネタ被りの可能性』『虐描写の物足りなさ』が含まれています。 ご容赦下さいますよう、よろしくお願い致します。 明るいゆ虐を楽しみたい方は、24時間ゆ虐専門チャンネル、『ゆナッフTV』をご利用下さい。 胴付きとのすっきりーを楽しみたい方は、『パラダイゆCh』をご利用下さい。 『YHKスペシャル プラネット・ゆース 第二夜 ~きめぇ丸 ヒマラヤを越える『捕食なき捕食種』~』 ある森の中です。 昨晩の急激な冷え込みが、小さな変化をもたらしています。 ゆっくりが、地面の上を、転がっています。 普段は跳ねて行動するゆっくり。 いったい、どうしたのでしょう。 カメラを近づけて観察すると、その理由が分かります。 光なく、開かれたままの目。 そして、沈黙したままの口。 凍死しているのです。 周辺に目を向けると、そんなゆっくりが、大勢いることが分かります。 この森は地表が傾いていて、丸いゆっくりは、簡単に転がっていきます。 帽子のない、まりさ。 歌を歌わない、れいむ。 大人になれなかった、子ゆっくり達。 それは全て、突然生命を奪われたゆっくり達。 生前は本能に従い、今は重力に従って、流れ、落ちるのです。 森の端は、崖。ゆん体を消滅へと導きます。 ひとつ、ふたつと、ゆっくりだったものが奈落に吸い込まれていきます。 そんな光景を、高みから見下ろしているものがいます。 高い木の枝に止まり、それは、鳴きます。 「おお、あわれ、あわれ」 野生のきめぇ丸です。 空を飛ぶ種として、知られているゆっくりです。 その飾りは、特徴的です。 山伏を思わせる、小さな赤い帽子を、頭の上に乗せています。 さらに、そのお飾りから、白い糸のようなものが伸びています。 それは、帽子の左右から1本づつ垂れ下がり、末端はあんよ近くまで達しています。 その糸には、白い綿毛のようなものが付いています。 多いときには、左右に3個以上付いていることもあります。 これが、エネルギーを溜めている器官であることは、よく知られています。 それは、ラクダが脂肪をコブとして溜めていることに、似ています。 きめぇ丸の食事風景を、ご覧になったことがあるでしょうか。 この種は食事を摂らないと思われている方も多いようですが、違います。 野生種においては、少量ではありますが木の実を食べ、水を飲みます。 ただ、その回数は極端に少ないものです。 四六時中、むーしゃむーしゃごーくご−くしている通常種とは、程遠い生態です。 無論、僅かな水や食料だけで、きめぇ丸の生命が保たれているわけではありません。 飛行を可能にするほどの、膨大なエネルギー。 その秘密は、体内にあります。 きめぇ丸の特徴は、『他者を見下すこと』に尽きます。 昨今の通常ゆっくりも、同じような生態を見せることがあります。 これは、きめぇ丸種を模倣しているに過ぎません。 通常ゆっくりの『見下し』は、単なる気分転換です。 それに対し、きめぇ丸のそれは、生命維持に欠かせない働きなのです。 きめぇ丸の体内には、キメメフィルという化学物質があります。 これは、外部の見下せる対象を認識すると、活発に動き出します。 すると、体内にある僅かな栄養素が、激しい化学反応を起こすのです。 きめぇ丸の生命エネルギーは、この時、生成されます。 この働きは、植物に当てはめると、分かりやすいかもしれません。 植物は、葉緑素が光を吸収し、エネルギーに変換します。 きめぇ丸は、キメメフィルが『見下し』を吸収し、エネルギーに変換するのです。 この働きのせいでしょうか。 研究者の中では、きめぇ丸をゆっくりではなく、植物に分類すべきだ、という声もあるのです。 見下すことが生きていくことに欠かせない以上、きめぇ丸はそれに向けた行動を取ります。 その矛先は専ら、その名の通り鈍重な、ゆっくりに向けられます。 「おお、おそい、おそい」 「きめぇまるだぁぁぁぁぁ!」 「ゆんやぁぁぁ!」 「ゆっくりできないぃぃぃ!」 きめぇ丸を認めるなり、ゆっくり達はたちまちパニックに陥ります。 通常種に近い種ほど、その傾向が強いようです。 別にきめぇ丸は、ゆっくり達に暴力を振るうわけではありません。 ただ、素早く体を揺らしたり、目にも止まらぬ速さで動き回るだけです。 しかし、その速さそのものが、ゆっくり達にとっては、多大なストレスになります。 「えれえれえれえれ・・・」 中には、きめぇ丸の仕草だけで、ショック死する個体もいるほどです。 「おお、おろか、おろか」 そんな光景を見て、きめぇ丸は、精神的だけでなく、肉体的にも満たされていくのです。 字面だけ見ると、かなりゲスい生態のように思えます。 しかし、きめぇ丸自身は、ゆっくり達を、取ったり、食べたりはしません。 にも関わらず、ゆっくりはきめぇ丸を、れみりゃ並みに恐れます。 きめぇ丸も、ゆっくり達の恐慌抜きには、生きてはいけません。 ある研究者は、このような生態を持つきめぇ丸を、こう、名付けました。 捕食なき捕食種、と。 さて、カメラを冒頭の森に戻します。 相変わらず、凍死したゆっくりは崖下へ落下し、それをきめぇ丸が見下ろしています。 実はこのきめぇ丸、飾り糸に付いている綿毛が、2つづつしかありませんでした。 しかし、この光景を眺めているうちに、新しい綿毛が、膨らんでいきます。 哀れな光景が、きめぇ丸の中の、キメメフィルを活性化させます。 ここはさしずめ、きめぇ丸にとっての、ゆっくりプレイスなのでしょう。 綿毛が遂に、6つになりました。 きめぇ丸が、飛び立ちます。 冬が間近になると、きめぇ丸は集団となって、ある行動に出ます。 野生のツル等と同じ生態。 『渡り』です。 舞台は変わって、ヒマラヤ山脈。 その最高峰、エベレスト。 上空、ヘリコプターからカメラを回しています。 山に積もった雪が、青い空の中で、一段と映えます。 白い峰に近付く、黒い一群が見えてきました。 きめぇ丸の、群れです。 「「「「「「「「「「おお、ちかい、ちかい」」」」」」」」」 数十羽は、いるでしょうか。 群れの姿は、まるでそれ自体が、大きな一羽の烏のようです。 このきめぇ丸達は、『渡り』の真っ只中。 遠い地から、ヒマラヤ目指して、旅を続けてきました。 一羽一羽の姿に、カメラが迫ります。 旅の過酷さが、はっきり刻まれているのが、分かります。 体中が乾いて、ひび割れているものもいます。 一番変化が見て取れるのは、飾りの綿毛です。 エネルギーの貯蓄を示すこの器官。 出発時は、全てのきめぇ丸に、6つの綿毛が付いていました。 しかし、このヒマラヤ上空で、3つ残っているものは、稀です。 大抵は1つや2つ、中には、綿毛を持っていないものいます。 これからきめぇ丸の群れが挑むのは、ヒマラヤ越え。 世界最高峰の山々を、自分の力のみで、飛び越えようというのです。 辺りは、激しい気流が巻き起こっています。 中でもエベレスト周辺は、最大の難所となっています。 にも関わらず、きめぇ丸の群れは、最高峰目掛けて、飛んでいきます。 黒い塊が白い剣先に向かい、真正面から戦いを挑んでいくのです。 強い風に煽られ、群れが一旦、引き返します。 その時、力尽きたものが出ました。 「おお・・・」 綿毛をなくしていたきめぇ丸です。 じっと仲間を見つめながら、遥か地表へと、落下していきます。 「「「「「「「「「「おお、さらば、さらば」」」」」」」」」 仲間達が、惜別の言葉を贈ります。 見下すものなど、誰も、いません。 一回、また一回、と行っては返すことを、繰り返します。 気流の流れを、計っているのです。 風の流れに飛び込むごとに、脱落するものも、増えていきます。 舞い落ちる羽のように、きめぇ丸が、群れから剥がれ落ちていくのです。 遂にある1匹が、気流の隙を見つけたようです。 スルリと風を抜け、山の頂上近くにまで達しました。 その後を追い、群れ全体が一直線となって、突破を試みます。 黒いうねりが、空を目指して舞い上がります。 「「「「「「「「「「おお、たかい、たかい」」」」」」」」」」 群れが完全に、気流を抜けたようです。 山の頂上が、きめぇ丸の影で覆われます。 制覇を成し遂げたもの達は、一様に体全体を激しく揺さぶります。 喜びの表現です。 一仕切り歓喜のダンスを済ませると、視線を、眼下へ落とします。 「「「「「「「「「「おお、ひくい、ひくい」」」」」」」」」」 きめぇ丸の群れは、今はもう上空9000メートルから、エベレストを見下ろしています。 世界一高い山と言えど、今はもう、蔑視の対象に過ぎないのです。 その証拠に、減っていた綿毛が、急速に増殖を始めます。 体内のキメメフィルが、活発な働きを見せているのです。 きめぇ丸の群れが、わざわざエベレストを乗り越えていく理由は、ここにあります。 長旅に必要な、エネルギーの補給を行うためだったのです。 世界最高峰を見下す快感。 それは、何ものにも代え難いのでしょう。 ちなみに、エベレスト以外の山々を越えても、エネルギーの充填は行われないそうです。 研究者達はそれを、きめぇ丸種のプライドの高さの表れだ、としています。 きめぇ丸がヒマラヤを越えて、どこに向かうのか。 詳しいことは、分かっていません。 しかし通説では、どこかで子供を産み、育てているのではないか、といわれています。 それを裏付けるかのように、暖かくなると、今度は、若いきめぇ丸達が逆コースをたどるのです。 この世の全てを見下す生き物、きめぇ丸。 そんな彼らが唯一見下さないものと出会うために、命がけの旅は、続いていくのです。 『YHKスペシャル プラネット・ゆース ~きめぇ丸 ヒマラヤを越える『捕食なき捕食種』~』 製作: YHK(ゆっくり放送協会) カメラ: 脳内 音楽: 脳内 特殊: 脳内 脚本・語り: 二行 収録: 餡小話 Wiki 今回の『プラネット・ゆース』第二夜、いかがでしたでしょうか。 第三夜は、『ドスまりさ・たったひとつのゆっくりプレイス』をお送りします。 年内のSSは、これで最後となります。 皆々様、ありがとうございました。 それでは、よいお年を。 (終) 【過去作】 ふたば系ゆっくりいじめ 666 チューチューラブリームニムニムラムラプリンプリンボロンあにゃるぺーろぺーろ ふたば系ゆっくりいじめ 658 緊急特別SS ゆっくり割れる窓ガラスさんの謎 ふたば系ゆっくりいじめ 629 極上のすっきりプレイス ふたば系ゆっくりいじめ 594 プラネット・ゆース ふたば系ゆっくりいじめ 560 なずーりんに祝福を ふたば系ゆっくりいじめ 497 DYC ふたば系ゆっくりいじめ 453 空から降る100万のぷくー ふたば系ゆっくりいじめ 428 はげの行進 ふたば系ゆっくりいじめ 402 れいむ・マスト・ダイ(後編) ふたば系ゆっくりいじめ 379 れいむ・マスト・ダイ(前編) nue009 「ブラックペーパー・チャイルド」 二行の作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 生命に必要とは言え下手な人間より努力してて草 -- 2017-11-24 14 55 51 きめぇ丸ってどのぐらい早くなるの? -- 2014-01-12 17 02 52 イイハナシダナー(;_;) -- 2013-02-02 00 14 57 山を越えられなかったきめぇ丸に寂寞とした切なさを感じる -- 2012-01-28 05 56 33 面白かった -- 2011-09-23 11 58 55 仲間には優しいんだwww -- 2011-08-24 08 22 43 面白い? -- 2011-08-07 06 54 27 おお、さらばさらば -- 2011-07-27 23 11 33 キメメフィルw -- 2011-06-12 22 18 45 なんかかわいいなwwww -- 2011-04-19 14 34 47 で?ってコメントするやつなんなの? -- 2011-01-19 18 44 26 エベレストを見下すために命を賭けるか… 山男じゃなくて…ええっと空女だな! -- 2010-10-24 21 43 33 なんか好きなんだよなぁ、きめぇ丸 「捕食なき捕食種」やたら格好良い二つ名付いてるしw -- 2010-10-03 07 14 31 エベレストを見下す…きめぇ丸ってスゲェ -- 2010-06-17 06 31 27 で? -- 2010-06-11 22 13 18
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七罪 26KB 虐待-普通 悲劇 自業自得 現代 ネタかぶりしてないことを祈りつつ ■罪源 冬の長さを示すような根深い雪を踏みしめ、私は歩く。 肩をすくめて寒さを耐え忍び、我が家への帰路を歩く。 口元に漂う白い息を見ていると、心まで冷たくなってゆくようだ。 「おにいさん、れいむをゆっくりさせてね!」 緩やかな風に流れる灰色の曇り空は、日の光も通してはくれない。 雪を落としてこないのが、せめてもの救いだろうか。 両の耳などは、恥ずかしいぐらい真っ赤になっているのだろう。 指で擦ってみると、まるで自分の身体ではないかのように冷たくなっていた。 「あと、あまあまちょうだいね!」 コンビニ袋を持っていなければ、両手ともポケットに突っ込みたいところだ。 それでも今の私には、わずかな温もりがありがたい。 片手だけを上着のポケットへねじ込み、私は身を縮ませた。 閑散とした、見慣れた住宅街が周囲に広がってくる。 人通りも少なく、聞こえてくるのは自らのコンビニ袋が擦れる音だけだ。 この先には、貧しいながらも暖かい我が家が待っているはすだ。 「ゆ? ここがおにいさんのおうち?」 足を止め、ズボンのポケットから鍵を取り出す。 このドアの向こう側は、どれだけの暖かさを与えてくれるのだろう。 想像するだけで、寒く辛かった道のりも全て癒される気がした。 「きにいったよ! ここをれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」 私は鍵を取り出す手を止め、足元に視線を移した。 ■強欲 「ゆぶげっ!」 振り下ろした足の下で、潰れたバレーボールのようなものが悲鳴を上げる。 悲鳴に合わせて、黒髪と赤いリボンがわさわさと蠢いていた。 想像以上に心地良い弾力が、足の裏から伝わってくる。 私は、力を抜いたり入れたりを何度も何度も繰り返した。 「ゆぶっ! ゆびっ! ゆぶっ!」 バレーボールが、歪な変形を繰り返す。 寒さも忘れてしまいそうなほど、私はその行為に熱中した。 「い、いたいよ! いますぐやめてね!」 私はハッとなり、コンビニ袋に目をやった。 とんでもない失敗に気が付いたのだ。 貴重な時間を使い過ぎてしまったことに。 慌てて袋から中身を取り出す。 手に取ると同時に、私はひどく安堵した。 「ゆゆっ! あんまんさんだよ!」 暖かさが保たれていたことに、心から感謝する。 かすかな湯気を放つあんまんが、輝いて見えるかのようだ。 「はやくちょうだいね! たくさんでいいよ!」 それは、とても感動的な暖かさだった。 寒さにかじかんだ指は思うように動かない事を忘却するほどに。 「ゆ!」 柔らかい、とても柔らかい音と共に、あんまんが地面に接する。 一瞬の油断が命取り、と語ったのはどこの誰だっただろう? なんの打開策にもならないことを悩むほどに、私は激しく動揺していた。 「むーしゃむーしゃ!」 心が平静を取り戻す頃には、全てが終わっていた。 落下したあんまんは、跡形も無くなっていたのだ。 「おかわりちょうだいね! ぜんぜんたりないよ!」 私はしばし、思慮にふける。 無くなってしまったものは、もう戻ってはこない。 ならばこの状況、私が取れる最善とは一体なんなのだろうか? 答えは、思いのほか簡単に導き出された。 あんまんは、無くなったわけではなかったのだ。 「あと、あまあまちょうだいね! ゆっくりぷれいすもちょうだいね!」 あんまんは、この中にある。 「ゆゆっ! おそらをとんでるみたい!」 両の手で、頬のあたりをしっかりと掴み持ち上げる。 指の先まで強い意志を込め、決して落とさないように。 「れいむとんでる! おそらもれいむのものだよ!」 頬を紅潮させ、だらしなく涎を垂らすバレーボールと向き合う。 目を背けたくなるような光景だが、これもあんまんのためだ。 私は、ゆっくりと掴む力を強くしていく。 「ゆんゆゆ~♪ ……ゆっ? ちょっといたいよ!」 力を込めたことで、わすかでも体温が上がったのだろうか。 かじかんでいたはずの指も、自由に動かせるようになってきた。 私はゆっくりと、両の手を左右に広げてゆく。 「いたいっ! ちぎれちゃう!」 ミチ……ミチ……という音が、指のあたりから聞こえてきた。 バレーボールの頬に亀裂が入り、薄っすらと黒い餡子が見え始める。 ほんの少し前まで笑顔に満ちていたものは、もう見る影もなかった。 横幅は2、3倍に引き伸び、どんな表情なのか判別できなくなっている。 どれほど出来の良い福笑いでも、ここまで面白い顔にはならないだろう。 「やめてね! やめてね!」 この状態でも言葉を発っせられることに、ほんの少しだけ感心する。 私は敬意を表して、左右へ引く力を更に強くした。 「ゆ、ゆんやあぁ~っ!」 頬だけではなく、身体のあちこちに亀裂が入り始める。 最初は滲む程度だった餡子も、亀裂から漏れ落ちて床に染みを作っていた。 大変見苦しいので、足の裏で丹念に踏みにじる。 「れいむのあんこさん、ふまないでね!」 他人の所有物、誰の所有物でもないもの、何もかも全て。 どれだけの物を欲すれば、気が済むのだろう。 あんまんも自分のもの、家も自分のもの、大空も自分のもの。 「もっと、ゆっくり……したかったぶぎゅ!」 自問自答をしているうちに、目前では餡子の花が咲き乱れていた。 床に飛び散る、餡子に混じった何か。 それはあんまんではなく、ただの生ゴミだった。 ■色欲 「ただいまー」 帰宅を告げながら、横着して手を使わずにつま先で靴を脱ぐ。 玄関を上がったあたりで、廊下の向こうからポヨンポヨンと間抜けな効果音が聞こえてきた。 「おにいさん、ゆっくりおかえり!」 金色の髪に黒い帽子を被った球体が、不敵な笑顔で飛び跳ねてくる。 あまりに激しく跳ねるものだから、帽子が徐々にずれてきているようだ。 「おい、そんなに跳ねると……」 「ゆゆっ!?」 案の定、帽子が床にずり落ちてしまった。 慌てて振り向き行方を追うが、ゆっくりは急に止まれない。 「まりさのすてきなおぼうしがぁー!」 「前見ろ、前」 ポヨヨン! 「ゆぴっ!」 見事、私の足元へ正面衝突だ。 大きな目に涙を一杯に溜め込み、仰向けに転がってしまう。 「ゆっぐ……えっぐ……」 コンビニ袋を床に置き、両手を使って元の体勢に直してやる。 瞬く間に、不敵な笑顔が戻ってくる。 「ゆっくりもどったよ!」 「ああ、よかったな」 「……ゆ!? まりさのすてきなおぼうしがないよ!?」 キョロキョロと、せわしなく左右を見回す。 落ちた帽子は遥か後方なので、いくら前方を探しても見つかるわけがない。 私は仕方なく帽子を取りに移動し、持ち主の元へ返してやる。 「ゆ! おぼうしさん、ゆっくりおかえり!」 よほど嬉しかったのか、鏡も無いのに身体をクネクネさせてモデル気取りだ。 満足げな顔を見届け、私は廊下の奥へ歩き出す。 玄関先の餡子の染みを思い出すと、少し気分が憂鬱になる。 しかし、放置しておいて虫でも集まられたらたまらない。 私は物置部屋に入り、掃除用具……箒に塵取りを取り出した。 「んほおおぉぉぉ!」 嬌声が響き渡ったのは、その瞬間だった。 「ゆんやああぁぁぁ!?」 掃除用具を手にしたまま、慌てて玄関へ戻る。 そこには、とても言い知れない光景が広がっていた。 「とっても、とかいはなまりさだわ! んほ! んほ!」 「やめてね、やめてね!」 嬌声の主は、金髪にカチューシャをつけた丸い球体だった。 何かの液体で濡れているのか、表面は妙な光沢を発している。 先程までクネクネしていたのは、モデル気取りの帽子の主だった。 しかし、今クネクネしているのは金髪カチューシャの方だ。 モデル気取りに押しかかり、腰のあたりを激しく動かしている。 生理的な嫌悪が、身体をかけずる。 反射的に、手にしていた箒を金髪カチューシャに振り下ろした。 「ゆぎぃ!?」 濁ったうめき声を上げて、金髪カチューシャは動きを止めた。 ほんの、一瞬だけ。 「……ゆふ、ゆふんほほおぉ!」 「ゆんやぁー!?」 金髪カチューシャが、再び腰を動かし始める。 箒で叩いた部分が歪に凹んでいるのも、おかまいなしだ。 「くそっ! このっ!」 私は何度も何度も、箒を振り下ろす。 叩いた箇所から金髪カチューシャの皮が裂け、クリームが漏れてくる。 それでも、腰の動きを完全に止めることは出来なかった。 「きんもちいいぃぃぃ! まりさのまむまむ、さいこうだわああぁぁぁ!」 「す、すっきりしちゃう~!?」 気が付けば、涙と謎の液体で両者ともヌルヌルテカテカだ。 猶予が無さそうな状況に、私は覚悟を決めた。 「ゆぎゅっ!」 モデル気取りを足で踏みつけ、金髪カチューシャに両手を添える。 「いくわよまりさ、いく、いくうぅぅぅ!」 スポーン! 金髪カチューシャがモデル気取りから外れ、腰の突起物が露になった。 そのまま、玄関外へ放り投げる。 手のひらには、ねっとりとした最悪の感触が残っていた。 「すっきりいぃぃぃ!」 金髪カチューシャが嬌声を上げながら、放物線を描く。 腰の突起物からは、謎の液体を放出しながら。 「ゆぶっ!」 モデル気取りから足を離し、玄関外へ飛び出す。 金髪カチューシャは既に体勢を整え、起き上がろうとしていた。 「ぶっかけもよいけど、なかにもださせてねええぇぇぇ!?」 ご近所さんにとんでもない誤解を招きそうな絶叫に、私は顔をしかめる。 狭い玄関では躊躇していた分を取り返すべく、思い切り箒を振り上げた。 「こんやは、ねかさないわよおおぉぉ!」 渾身の力で、箒を叩きつける。 あまりの勢いに箒が折れてしまうのではないか、といわんばかりに。 「んほぶっ!」 盛大に謎の液体を撒き散らしながら、金髪カチューシャはやっと動かなくなった。 性欲の塊が、クリームの塊に変化したのだ。 私は目をつぶり、とても深い溜息を漏らす。 処理が終わった安堵感と、掃除対象が増えた無念感からくるものだった。 ■嫉妬 「ゆっぐ……えっぐ……」 モデル気取りも今は昔。 こんなに腹をぷっくりと膨らませては、引退も止む無しだろう。 「まりさ……にんっしんっ! しちゃった……」 いくらおさげで目元を抑えても、溢れる涙は止まらない。 膣外射精は避妊法じゃないから……などと説明した所で、慰めにもならないだろう。 掃除があるからと横着して、玄関ドアを開け放しにすべきではなかった。 私だって、通りすがりに絶世の美女がクネクネとポーズを取っていたら……。 ……いや、それでも突然レイプはしない。 そもそも、こいつは美女なのだろうか? 「ゆわぁ~あ。よく寝たよ!」 間延びした声に顔を向けると、廊下の奥からズリズリと球体が這いずってきた。 元モデルも気が付いたらしく、這いずる球体の方を見つめている。 球体の黒髪は寝癖だらけで、赤リボンも変な角度に曲がっているようだ。 三六〇度どこから見ても、完璧な寝起きである。 その腹のあたりは、元モデルに負けず劣らずぷっくりと膨れている。 「れ、れいむ……」 「ゆゆっ!? まりさ、なんなのそのおなか!」 寝癖リボンが、元モデルへ向かって物凄い勢いで跳ねてくる。 身篭っているとは思えないぐらいの跳ねっぷりだ。 鬼のようにつり上がった眉毛に、血走った目、歯茎むき出しの口元。 その表情は、とてもじゃないがゆっくりしたものとは程遠かった。 「これはね、れいぱ……」 「うわきしたんだね、まりさ!」 さすが耳が無いだけあって、聞く耳も持たない。 「ちがうよ! だからこれは、れいぱーに……」 「れいむというものがありながら!」 一方的に責め立てる寝癖リボン。 元モデルがあまりに忍びないので、私は助け船を出してやることにした。 「おい、これは事故で……」 「おにいさんはだまっててね!」 ドムン! 会心のトゥーキックが、寝癖リボンに鋭く決まった。 寝癖リボンが壁で反射しながら、廊下の奥へ飛んでゆく。 もしかしたら、風圧で寝癖も直るかもしれない。 「ど、どぼじでこんなことするの……」 「急にボールが来たんで、つい……」 前歯が何本が無くなっているようだが、大きな問題は無いだろう。 この程度は日常茶飯事なので、気にする必要はない。 「まぁ、こいつの話も聞いてやれよ」 「ゆ! いいわけなんてきかないよ!」 寝癖リボンの目前で、もう一度トゥーキックの体勢を取る。 「まりさ、ゆっくりせつめいしてね!」 平和的に示談が始まったようなので、あとは当人達に任せることする。 「れいぱーに、すっきりされたんだよ!」 「れいぱーなんて、どこにもいないよ!?」 「おにいさんが、せいっさいっしたんだよ!」 「てきとうなこといわないでね!」 「ほんとうだよ! ゆっくりしんじてね!」 「……でも、すっきりしたんでしょ!」 「すっきりしたよ!」 「きもちよかったんでしょ!?」 「そんなことないよ!」 「まりさのうわきもの! れいむのばーじんかえしてね!」 初めてのことを気にしているとは、思わなかった。 年中盛っているイメージがあったので、意外だったのだ。 「まりさだって、ばーじんだったんだよ!」 「ばーじんをれいぱーにあげるなんて、どういうことなの!?」 「あげたくてあげたんじゃないよ! ゆっくりりかいしてね!」 「ほんとうなの!? まりさからさそったんじゃないの!?」 「ひどいこといわないでね!」 「まりさは、いんらんだよ! めすぶたってよんであげるよ!」 「どぼじでそんなこというのー!?」 「れいむのいうことがきけないの!?」 「まりさのいうこともきいてよ!」 元モデルの顔は涙でグシャグシャになり、確かに豚顔のようにも見える。 しかし、あまりにあまりなやり取りである。 「あのな……」 思わず口を挟むと、寝癖リボンが般若のような顔で見上げてきた。 目は血走り、口元からは涎が吹き出している。 「じじぃはだまっててね!」 「おい、話を聞けよ」 寝癖リボンは鼻も無いのに鼻息荒く、元モデルに向き直る。 「もう、はなしてもむだだね!」 「ゆんやぁー!」 「ゲスなまりさは、せいっさいっしてやるよ!」 寝癖リボンが飛び上がり、空中に浮かぶ。 「ゆっくりしね!」 ドムン! 会心のボレーキックが、寝癖リボンに鋭く決まった。 廊下の一番奥まで吹っ飛び、壁に激突してずり落ちる。 気絶してしまったのか、ピクリとも動かない。 餡子を少し吐いているようだが、あの程度なら命に別状はない。 後でオレンジジュースでもかけてやれば、寝癖も一緒に直るだろう。 元モデルの方を見ると、いつもの不敵な笑顔に戻っていた。 膨らんだ腹のせいかもしれないが、踏ん反り返っているようにも見える。 「ゆふふ、いいきみだよ」 「……チッ」 元モデルの呟きに、眉をしかめて舌打ちする。 会心のキックが決まったというのに、不満げな気持ちが込み上がる。 掃除するものが増えたから……それだけが理由ではないような気がした。 ■怠惰 部屋の真ん中には、腹を大きく膨らませた饅頭が二つ鎮座していた。 「すーやすーや……すーやすーや……」 寝癖の直らない赤リボンの方は、熟睡を示す寝言を喋りながら夢の中だ。 ついさっきまで修羅場だったとは、とても思えない。 幸せそうな笑顔で、膨らんだ腹に両のもみあげを置いている。 生まれてくる赤ん坊の夢でも見ているのだろうか。 「まりさのかわいいおちびちゃん、ゆっくりうまれてね!」 元モデルの方も、すっかり母性に目覚めたようだ。 こちらも膨らんだ腹をおさげで擦り、満足げに微笑んでいる。 「というか、産むのか?」 元モデルの目前に座り込み、私は問いかけた。 強姦されて出来た子……多少でも葛藤はないのだろうか。 「かわいいまりさのおちびちゃんだから、きっとかわいいよ!」 「ああ、そう……」 問題は、もう一つあった。 寝癖リボンが身篭った時に、元モデルと約束を交わしていたのだ。 「しかし、そんな身体でコイツの面倒見られるのか?」 問いかけながら、寝癖リボンを指差す。 身篭ってからというもの、寝るか食ってるか二択の生活だ。 最近では、まともに動こうともしない。 だからこそ、元モデルが世話をする約束が必要だったのだ。 「まりさはにんっしんっしたんだよ!」 「知ってるよ」 「だから、おにいさんがれいむのめんどうをみてね!」 「断る」 「どぼじでそんなこというの!?」 子を産むことに反対こそしなかったが、これ以上手間をかける気もなかった。 当人達の望みなのだから、当人達で責任を取れと約束したはずだ。 「じゃあ、れいむはどうでもいいよ!」 「そうなのか」 「かわりに、まりさのめんどうをみてね!」 「断る」 「どぼじでそんなこというの!? まりさはだぶるまざーなんだよ!」 産まれた後のことも、頭が痛い。 倍の数を面倒見るつもりは毛頭無いが、わざわざ間引くのも面倒くさい。 「全部殺すか」 「こわいこといわないでね!」 情けない涙顔で見上げる元モデルの頭を、帽子越しに撫でてやる。 「ははは、半分冗談だ」 「ゆふー! びっくりしたよ!」 元モデルが嬉しそうに、餡子が一杯に詰まっているであろう腹をプルプルさせる。 ふと玄関にあんまんが置きっぱなしだったことを思い出し、立ち上がった。 「……ゆ? はんぶん?」 元モデルの呟きが背中越しに聞こえた気がしたが、私は無視して玄関へ向かった。 ■暴食 今度こそ玄関の戸締りを確認し、床のコンビニ袋に手を伸ばす。 部屋に戻ってみると、鎮座した二つの饅頭は仲良く寝息を立てていた。 元モデルも、寝るか食うかの二択生活になってしまったようだ。 私は目前に座り込み、コンビニ袋を床に置く。 あんまんを一つ取り出した所で、飲み物が無い事に気がついた。 台所へ向かおうと、立ち上がった瞬間……。 「……ゆゆっ!?」 熟睡していた筈の饅頭達が、カッを目を見開いた。 「あまあまだ!」 「はやくちょうだいね!」 一目散に、饅頭達がコンビニ袋へ向かう。 慌てて私も手を伸ばすが、一度立ち上がろうとしたために反応が遅れてしまった。 「がーさがーさ! がーさがーさ!」 「ゆゆゆっ! あまあまがあったよ!」 「むーしゃむーしゃ! むーしゃむーしゃ!」 「うめっ、これめっちゃうめっ!」 「しあわせーっ!」 透明度の低い袋なので、中の様子は良く見えない。 しかし、何が行われているのかは明確に予測できた。 思えば、寝癖リボンはともかく元モデルは身篭ったばかりだ。 懐妊祝いというわけではないが、今回は自由に食わせてやろう。 私はそんなことを考えながら、あらためてあんまんを頬張ろうとした。 「ゆびぃっ!?」 突然、コンビニ袋の中から悲鳴が聞こえてきた。 声だけでは、どちらの饅頭が発したものなのかはわからない。 「むーしゃむーしゃ、それなりー?」 「いたいよ! すぐにやめてね!」 コンビニ袋に手を差し込む。 しかし、どれがあんまんでどれがそれ以外なのか、感触だけでは分からなかった。 「このあんまんは、あまりおいしくないよ!」 「ひどいこといわないでね!」 「でもまりさはたべてあげるよ! ゆっくりかんしゃしてね!」 「ゆんやぁー! れいむのたまのはだがー!」 引っ張り出すのをあきらめて、コンビニ袋を逆さになるよう引っ張り上げる。 何かが引っかかっているのか、なかなか中身は出てこない。 「がーつがーつ! がーつがーつ!」 やがて、ポテポテッ! という音と共に、二つの球体が床に落ちる。 元モデルは無傷のようだが、寝癖リボンは重傷だった。 身体のあちらこちらが食いちぎられ、穴だらけになっている。 「ゆぐっ……れいむの……おちびちゃんが……」 寝癖リボンの腹が裂けて、漏れた餡子に混じって何かが見えた。 小さな目と口がついた、ピンポン玉のような塊だ。 寝癖リボンを掴み上げ、台所へ向かう。 流し台にそっと置いて、オレンジジュースをたっぷりと振り掛けた。 「ゆゆっ!? まりさのあまあまはどこ?」 声に背後を振り返る。 そこには、帽子を被った食欲の塊が、頬を紅潮させ満面の笑みを浮かべていた。 食欲の塊が、キョロキョロと周囲を見渡す。 よく見ると口元には餡子だけでなく、癖のついた黒髪が纏わり付いていた。 「お前、何してんだ……」 私の心に怒りや恐怖はなく、ただひたすらに呆れていた。 この食欲の塊は、自分と甘味以外の存在をこの世から打ち消していたのだ。 「ゆっ! あまあまだ!」 食欲の塊が、私が手にしていたオレンジジュースに顔を向ける。 そのつぶらで大きな瞳には、もう私の存在も映っていないのだろうか。 全くゆっくりしていない反応で、食欲の塊が手元向かって飛び跳ねてきた。 しかし私は手を避けることはせず、逆に振り下ろす。 「ゆびっ!?」 空中衝突した食欲の塊が勢いを失い、床に落下する。 「ゆうぅ……まりさはしんぐるまざーなんだよ!」 ……食欲の塊は、先刻確かに『ダブルマザー』と言ったはずだ。 強姦魔は、既に亡き者となっている。 ならば『シングルマザー』の方が正しいといえば正しいのだが……。 それを言い直したということは、つまり。 私の中の呆れが、嫌悪に変わってゆく。 最初はどうだか分からないが、少なくとも現時点では確信しての行動だったのだ。 「だから、えいようとらなきゃだめなんだよ!」 再び、食欲の塊が私へ向かって飛び込んできた。 「あと、あまあまちょうだいね!」 私は、オレンジジュースを持っていなかった方の腕を振り下ろした。 思いきり振りかぶり、渾身の力を込めて。 「ゆぶぎゅっ!?」 食欲の塊が床に叩きつけられ、歪に変形する。 私は行く末を見届けるまもなく、繰り返し拳を叩き込む。 「ぎゅぶっ!? やべちぇぶっ!?」 食欲の塊からは、既に意味不明の言葉しか聞こえなくなっていた。 もちもちだった肌は亀裂だらけになり、衝撃の度に餡子がばら撒かれる。 つぶらで大きな瞳があった場所も、不敵な笑みを浮かべる口元も。 もはや、何処にあったのか判別できない。 凄惨な光景とは裏腹に、不思議なほど私の心は落ち着いていた。 何度も拳を振り下ろしながら、他のことまで考える余裕さえあった。 後の掃除のこと、マンガの単行本を買い忘れたこと……。 ■憤怒 「どぼじで、いうことがきけないの!?」 寝癖リボンの怒声が響き渡る。 その目前では、ピンポン玉ほどの塊が目に涙を一杯に溜めこんでいた。 黒い帽子を目深に被り、小さな身体をプルプル震わせ俯いている。 まるで、今にも消えてなくなってしまいそうだ。 「まだ赤ん坊なんだから、仕方ないだろ」 私が横から声をかけると、寝癖リボンの眉毛がキリリ! とつり上がった。 小麦粉の補強跡を気にする素振りもなく、身体を大きく踏ん反りかえさせる。 「まったく、できのわるいおちびちゃんだよ!」 「だって……まりしゃ……まりしゃ……」 「くちごたえしないでね!」 寝癖リボンが身体を捻って、もみあげを振り回す。 ピンポン玉は弾き飛ばされ、テン、テン、と転がっていった。 「ゆぴぃ~! ゆっくちできない~っ!」 滝のような涙を流して、ピンポン玉が泣き叫ぶ。 それを見て寝癖リボンは、例によって鼻もないのに鼻息を荒くした。 「これは、あいのむちなんだよ! ゆっくりりかいしてね!」 「もうやじゃ~! ぴゃぴゃ、たしゅけちぇ~!」 父親を呼ぶ言葉を聞いて、寝癖リボンの身体が朱に染まってゆく。 ピンポン玉の目前まで跳ねてゆくと、大きく息を吸い込んだ。 「あんなゲス、ぱぱじゃないよ! ぷくーっ!」 「ゆんやぁ~っ!?」 人差し指を伸ばし、寝癖リボンの頬を突く。 「ぷしゅるるるる!」 口から空気が抜けたことが、万人に分かるよう宣言される。 私は寝癖リボンの頭に手を置き、顔をこちらに向かせた。 「それぐらいにしろよ」 「お、おにいさん……」 オレンジジュースの効果は絶大だったらしく、親子饅頭は見事息を吹き返した。 減っていた餡子は食欲の塊だったものから拝借したが、特に問題もないようだ。 一刻も経たないうちに、こうして言い合うほどに元気になるとは思わなかったが。 今さらだが、つくづく不思議なナマモノだ。 しかし、余程に元モデルとの出来事が腹に据えかねたらしい。 寝癖リボンはピンポン玉の一挙一動に難癖を付け、説教と体罰を繰り返していた。 金髪に黒帽子で産まれてきたことも、気に食わないのだろう。 「あんなゲスにならないよう、れいむがきょういくしないとだめなんだよ!」 「まりしゃゲスじゃないよ!」 「だいたい、そのぼうしがきにくわないよ!」 「まりしゃのすてきなおぼうちさんは、ゆっくちできるよ!」 「かみのいろも、ゆっくりしてないよ!」 「しゃらしゃらのきんぱつしゃんは、ゆっくちできるよ!」 「そもそも、れいむにぜんぜんにてないよ!」 「まりしゃはまりしゃだよ! ゆっくちりかいしちぇね!」 しかし、聞けば聞くほど、どうしようもない理由ばかりだ。 「なまいきいうんじゃないよ!」 寝癖リボンの体当たりで、ピンポン玉が弾き飛ばされた。 再びテン、テン、と転がってゆく。 「い、いじゃい~! ゆっくちさせちぇよ~!」 「ゆん! やっぱりゲスのこはゲスだね!」 「どぼじでそんなこちょいうにょ~!?」 「またくちごたえしたね! もうゆるさないよ!」 私は溜息をつき、寝癖リボンの眼前に手を開く。 寝癖リボンは視界を塞がれ、動きを止めた。 「あんまん、もう一度買ってくるよ。マンガも買い忘れてたしな」 「あんみゃん?」 「おちびちゃんは、だまっててね!」 「ああ、とっても甘くて美味しいぞ」 「あみゃあみゃ! あみゃあみゃ!」 「ゆぐっ……」 「だから、おとなしく待ってるんだぞ」 私はできるだけ静かな口調で、語りかけた。 寝癖リボンには手のひらで、ピンポン玉には指先で、頭を撫でてやる。 「わ、わかったよおにいさん……」 「はやくあみゃあみゃちょうだいにぇ!」 嬉しそうにピョンピョン跳ねるピンポン玉を見て、寝癖リボンの眉間にしわが寄る。 あの食欲の塊への怒りが消えないのはわかるが、子供には罪は無い。 今日は一段と寝癖リボンのヒステリーが酷いが、根はのんびりした性格だ。 もう少し時間が経てば、きっと怒りも静まるだろう。 再び外に出るのは億劫だが、暖かいあんまんのため……いや、親子団欒のためだ。 そう信じて、私は家を後にした。 ■傲慢 「ただいまー」 私が帰宅を告げると、いつも最初に跳ねてきたのは黒帽子の元モデルだった。 今にして思えば、帰宅時は何かしら食い物を買ってきていた。 目的はそこだったのかと思うと、悲しくはないが情けない気持ちになる。 玄関を上がって廊下を歩く。 あんなに騒がしかった親子の喧噪も、全く聞こえなくなっていた。 疲れて、昼寝でも始めたのだろうか? 饅頭達が居るはずの部屋に入るべく、私はゆっくりとドアを開ける。 「おまた……せ……」 手にしていたコンビニ袋を、床に落としてしまう。 すぐに我に返り拾い直すが、何とも不思議な感覚だ。 こんなリアクションなんて、ドラマやマンガの中だけだと思っていたのに。 身体の力がスッと抜け、自分でも気付かぬうちに指を離していたのだ。 しかし、ショックを受けて……というのとは、少し違うようにも思えた。 心のどこかでは、この光景を予想できていたのかもしれない。 やはりこうなってしまったか、思ったとおりだ、という脱力感。 「むーちゃむーちゃ!」 寝癖リボンの姿は、どこにも見当たらなかった。 代わりに、赤いリボンと癖のついた黒髪が、餡子の海に広がっている。 その中心に佇む、なすび型に膨らんだ醜い何か。 一心不乱に咀嚼を繰り返すその姿は、新種のエイリアンか何かのようだ。 私に気づく様子もないエイリアンに、近づきしゃがみ込む。 「美味いか?」 「ゆゆっ?」 私を見ても逃げる様子もなく、悪びれた様子も無い。 「おいしくにゃいよ!」 エイリアンが、つぶらな瞳をキラキラさせる。 その顔には、親そっくりの不敵な笑みを浮かべていた。 「でもまりしゃはたべてあげるよ! ゆっくちかんしゃしちぇね!」 少しだけ周囲を見渡してから、あらためてエイリアンに向き直る。 「何をしたんだ?」 「ねてるすきに、りぼんをぼっしゅうっ! したんだよ!」 確かにあれは、ゆっくりにとってはかなり大事なものだ。 洗濯する度に暴れて大変だったことを思い出す。 赤ん坊の身体でよく外せたものだが、寝相の悪さで取れかかっていたのだろうか。 「そしちゃら、ごらんのありしゃまだよ!」 圧倒的に説明不足だが、周囲に散らばっている掃除用具や家具を見れば想像はついた。 リボンを探して暴れたあげく、掃除に使っていた箒やその他に追突したのだろう。 二次災害で更に色々と倒れ込み、見事潰れてしまったわけだ。 今日はすっかり、掃除三昧になってしまったな……。 そんなことを考えていると、エイリアンがじりじりと移動を開始した。 すぐ横にあった、一際大きく盛り上がった餡子の塊に向かっている。 「しょくごのうんどうをしゅるよ!」 エイリアンは、私の目の前で腰を降り始めた。 「んほおおぉぉぉぉ!」 強姦魔に犯された餡子を、治療に使ったためなのだろうか? エイリアンは何かに取り憑かれたかのように、餡子に腰を叩きつけている。 「にゃ、にゃんだか、きもちよくなってきちゃったよ!」 私は、それを尻目に掃除用具や家具を片付け始める。 「しゅっきり~っ!」 行為が終わったようだ。 片付けを中断し、あらためてエイリアンと向き合う。 「ゆゆっ! まりしゃにみとれてりゅの?」 「ゆっくりできたか?」 「もっと、ゆっくちさせちぇね!」 「まだ足りないのか」 「まりしゃは、せかいでいちばんゆっくちするんだよ!」 「親が死んだんだぞ?」 「まりしゃはゆっくちしてるよ!」 「部屋も、こんなに散らかってしまった」 「まりしゃがゆっくちできれば、それでいいよ! ゆっくちりかいしちぇね!」 私は、拳を握り締める。 「理解出来ねぇよ」 床に叩きつけた拳を中心に、餡子その他が激しく飛び散る。 「ゆぴぃっ! いちゃい、いちゃいよ!」 エイリアンは半身を失いながら、悲鳴を上げ続けていた。 裂けた所に皮が張り付き、餡子の流出は最小限に留まっている。 餡子が潤滑材となったのか、叩きつけられたエイリアンの身体が滑ったのだ。 「おいじじぃ! どりぇいにしてやるから、まりしゃをたしゅけちぇね!」 半身を奪った張本人に対して、救助の申し込みだ。 返事の代わりに、手のひらでエイリアンを持ち上げる。 「ゆゆっ! おそらをとんでるみちゃい!」 エイリアンは、あっという間に上機嫌になった。 痛みも忘れたのか、手の上でキョロキョロとせわしない。 自分の不幸に何の疑問も持たない、純粋無垢の笑顔が輝いている。 「やっぱりまりしゃは、とくべちゅなんだにぇ!」 空いた方の手を構える。 「かわいくっちぇ、ごめんにぇ!」 パン! と手を合わせる甲高い音が、餡子まみれの部屋に鳴り響いた。 隙間から流れ落ちる餡子も気にせず、私はそのまま合掌した。 何を拝むわけでも、なく。 ■贖罪 掃除が一通り終わった時に、私はやっとあんまんのことを思い出した。 コンビニ袋をテーブルに載せ、買い物してきたものを取り出してゆく。 あんまん、ジュース、マンガの単行本……。 そこで目が留まり、単行本の表紙を見つめる。 それは『七つの大罪』がストーリに絡んでいるマンガだった。 なぜか今日の出来事全てが、私の頭の中に蘇ってくる。 ――あらためて思えば、いつもそうだった。 ゆっくりの言動は単純だ。 ほぼ、どれかに当てはまる。 強欲・色欲・嫉妬・怠惰・暴食・憤怒・傲慢。 『ゆっくり』が示したもの。 『人間』を罪に導くと言われるもの。 それが、何を意味しているのか。 『ゆっくり』が『人間』に示しているものは、何なのか。 「………………」 答えを口にすることが出来なかった。 答えがあるかどうかさえも、分からなかった。 代わりに私は、あんまんを口にした。 あんまんは、すっかり冷え切っていた。 ‐‐‐‐‐‐‐‐過去作‐‐‐‐‐‐‐‐ ふたば系ゆっくりいじめ 776 ゆっくりたたき ふたば系ゆっくりいじめ 769 ゆっくり採集~つかまってごめんね!~ ふたば系ゆっくりいじめ 766 まりさがまりさだよ! ふたば系ゆっくりいじめ 761 ゆっくりした週末 ふたば系ゆっくりいじめ 755 まりさもみもみ ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐ トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓×5 希少種が持てはやされるのは、 ・高い知能(人間との力量の差を理解している) ・ゲス化しにくい餡統 ・物珍しさ(希少性) が由来だからだね。 動物でも「言う事を聞かない・部屋を散らかす・大声で鳴く・躾を守らない」のは嫌だろ? まぁそこで更に「自分>赤ちゃん>ルール>人間」であるゆっくりはペットには向かないな。 -- 2018-01-17 06 02 29 ↓間違えた。もう1つ下です -- 2016-02-21 11 41 12 ↓2うるさい -- 2016-02-21 11 40 27 ハガレンかなぁ。 -- 2012-03-19 17 24 47 クズがつぶれてすっきりー! 合掌なんてまるで神への祈りじゃないか 饅頭に神はいないが -- 2011-06-08 14 58 52 どいつもこいつも希少種希少種と… -- 2011-01-18 15 59 29 もうちょっと餡の良い奴等を買うべきだったねー お兄さん勉強するべきだよー -- 2010-11-04 14 19 22 通常種の中でもありすほど善悪で可愛差の出る種類はない -- 2010-09-14 21 35 02 基本種は絶対ダメだな。とくにででいぶとまりさ 虫唾が走る -- 2010-06-29 02 04 16 ゆっくり飼うなら、高くついても賢い希少種だな。 -- 2010-06-23 09 06 57
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「ふたば系ゆっくりいじめ 222 ゆっくり・洋服/コメントログ」 ざまああああああああああああああああ -- 2011-02-17 08 16 20 こwwwwwwwwれwwwwwwwwwwwwwわwwwwwwwwwwwwwww 続きが気になるネ -- 2011-11-13 02 30 47 なるほど…ゲスはこうやって虐めるのか…… -- 2011-12-28 04 28 10 すぃーに自爆装置つけたい -- 2014-07-31 14 40 31 プライドの高いゆっくりには煽って虐めるのは定石だが、 やり方がまだ甘いな。パート1だからジャブか? -- 2018-02-27 15 34 13
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「ふたば系ゆっくりいじめ 386 最終地獄/コメントログ」 でめたしでめたし -- 2010-05-25 20 32 32 期待しちゃったよ!! そして、こういう作品は好きだ! -- 2010-06-10 01 03 19 やったー!お兄さん、カッコイー!! -- 2010-06-30 06 29 48 やだ…カッコイイ/// -- 2010-11-03 22 50 28 かっこいいんだか馬鹿なんだか…… -- 2011-08-16 12 22 29 地震と放射能か・・・こんな話を気にせずかけた時代が懐かしい -- 2011-09-26 22 59 58 ↓そうだよな、今じゃ不謹慎で叩かれるし・・・傷跡は未だに残ったまま・・・ -- 2013-01-23 04 20 22 泣いた -- 2013-03-09 02 46 06 俺福島県民なんだけどこれからは原発には無数のうにゅほがいるんだと思うわ。うにゅほの出した放射性物質だと思っとく…ちょっと萌え -- 2013-05-02 18 42 01 この部屋にでいぶやゲスまりさいれてみたらどうなるかなwww -- 2014-05-28 20 50 51 完全にハルクになっちゃったじゃないですかー!! すげぇ・・・ -- 2014-08-01 10 18 34
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空が赤く染まるころ、ぴょこぴょこと竹藪の中をはねる一匹のゆっくりがいた。 黒髪にちょこんと、丸っこくて白いふわふわしているうさ耳を生やしたゆっくり、『ゆっくりてい』である。 「うっさうさ~♪」 ていは狡賢く、いたずら好きなゆっくりだ。 嘘や演技は当然のこと、酷いときには落とし穴と組み合わせて他のゆっくりを落とすこともある。 そして騙されたゆっくりをみて、その滑稽さを笑うのだ。 「おかーさん、ただいまうさ!」 「おちびちゃん! おそとはあぶないうさ! もっとゆっくりせずにかえってくるうさ!!!」 「ゆっくりごめんなさいうさ……」 「わかればいいうさ。はやくいっしょにごはんをたべるうさ」 このていは母親と二匹で住んでいる、完全な母子家庭。 父親は幼い頃に亡くしていたし、他の姉妹はすでに巣立っていた。 二人きりの食卓に、幸せそうな声が響く。 「「むーしゃむーしゃ、しあわせ~うさっ♪」」 ◇ ◇ ◇ 今回は、てい虐めである。だが、ていを捕獲してはいけない。 なぜなら今回は、小さな群れを丸々一つ利用したものだからだ。 「というわけで俺はいま、キャンプをしています!」 「うぅ~? だれにむかっていってるんだどぉ?」 「おいおいれみりゃ、そこは空気を読むところだろ? なあいくさん!」 「およよ、いくはくうきのよめるおんなです」 ちなみに俺の周りには、なんやかんやで五匹ほどゆっくりがついてきている。 みんな割と楽しそうにキャンプ―――もとい、野生生活をしてくれているようでなによりだ。 「まあ、せいぜい楽しむがいいさ。……鬼井山がテントを貸してくれるなんて、これで最後かもしれないんだからな」 ちなみにテントは二人用であるため、ゆっくりは何匹か野宿になる。 数日続くのだが、たぶんだいじょうぶだろ。どれも元々野生だし。 「うー♪ きょうはおにーさんといっしょにねるどぉー☆」 「いや、お前夜型だから見張り役だろ。野犬でも来たら教えてくれ」 「いやだどぉー! ひとりはゆっくりできないんだどぉー!!!」 「わがまま言ってはいけません。めっ!」 「うぁっ!! ……うぅー、たまにはゆっくりしたいどぉ……」 そう呟きつつ、いかにも泣きそうな顔でとぼとぼさっていくれみりゃ。今日は割と素直である。 ……仕方がないから頭をなでてやった。この前、ちょっと虐めすぎたしな。 「まあ、俺はいくさんと一緒に寝るがな」 「うぅー!?」 冗談だ。……冗談だよ? ◇ ◇ ◇ 「うっさっさ♪ きょうもいたずらするうさ♪」 朝になり、今日もていは元気よく遊びに出かける。いつも通りの毎日。 ていはどんないたずらをするかは考えていなかったが、とりあえずいたずらすることだけは決めていた。 またありすにただの小石を "ほーせき" として渡してもよいし、まりさに適当な方向を教えてそこに果物があると言ってもいい。 ぱちゅりーはていの嘘に最近引っ掛からなくなってきたからやめよう。 そんなことを思いながら、群れの近くをぐるぐると回っていた。 ちなみに、ていは子供を作るといたずらをしなくなる。というより、いたずらをしていては必要なごはんが集めれないのだ。 いたずらはていにとってゆっくりできるもの、当然だがいたずらをしなければゆっくりできなくなる。 そのためていは親になる個体が少なく、それがていを希少種たらしめる要因の一つにもなっていた。 あるいみ、ずっと子供でいたがる種族といえるのかもしれない。 「……うさ?」 ふと、ていは緑色の茂みの奥から目立つピンク色の何かを見つける。 この距離だと、なんだかよくわからない。 好奇心旺盛なていは、ゆっくりとそちらに近づいていく。 「そろーりうさ……そろーりうさ……」 ピンク色の何かは、突然動いたり止まったりを繰り返していた。 けれどそんなに早く動いてなかったから、ゆっくり落ち着いて行けば大丈夫そうである。 もっと、もっと近づいてゆく。 「そろーりうさ……そろーりうさ……」 「そろーりだどぉー……そろーりだどぉー……」 何か声が聞こえるが、何なのだろう? そこまで来たとき、ていは自分が追っていたものの正体がわかった。 ピンク色の靴だ。 なぜか群れの方へと向かっている。 靴というものは知っている。にんげんさんが履くものだ。 ということは、にんげんさんなのだろうか? その靴がはっきり見える位置に来たていは、ゆっくりと視線を上げた。 「……うー?」 ちょうど向こうも気づいたのか、二匹の視線が交差する。 「―――れ、れみりゃうさぁぁぁ!!!」 「うわぁぁぁ!? みつかったんだどぉぉぉ!?!」 ていは叫びながられみりゃを追い越し、一目散に群れへと駆けもどって行った。 後ろで何か叫び声が聞こえるような気もするが、気にしてはいられない。 れみりゃぐらいなら、今群れにいる大人たちで追い払えるはずだ。 「うさぁぁぁ!! たいへん! たいへんうさっ!!!」 「むきゅっ!? てい、どうしたの? ゆっくりしてないわよ?」 群れに戻ったていが最初に出会ったのは、運がいいことに長であるぱちゅりーだった。 赤ゆっくりの世話をしていた長はていの必死な形相を見てちょっと引いたが、とりあえず事情を聞いてみる。 「れみりゃ、れみりゃうさ! れみりゃがやってきたうさ!!」 「むきゅっ!? それはたいへんね! おちびちゃんたち、ゆっくりおうちにはいりなさい!」 「ゆっくちりかいちたよ!!!」 「おねーちゃん、れみりゃってきょわいの?」 「そううさ! と~ってもこわいゆっくりうさ!!」 「れいみゅこわいのいやぁ……」 次々と赤ゆっくりが長の家へと避難していく。 そこにゆっくりとした様子は全くない。まさしく非常事態だ。 そしてその間に、ていの叫び声を聞いた大人たちが集まってきた。 「ぱちゅりー、いったいどうしたの?」 「むきゅ。ていがさっき、れみりゃがきたっておしえてくれたの」 「いなかもののれみりゃはゆっくりできないわ!」 「ゆっ! みんなでおいはらいにいくよ!」 「そのとおりね! てい、あんないしてちょうだい!」 「わかったうさっ! こっちうさ!」 群れのゆっくりを誘導するため、ていは先頭で急ぎ跳ねていく。 しかし、ていがれみりゃを見かけた場所にはもう誰もいなかった。 「……たぶん、もっとおくうさ」 仕方なくさらに進んでいくのだが、このとき大人たちはていが本当のことを言っているのか、ゆっくりと疑問に思い始める。 だいぶ進んだのに、れみりゃどころかほかのゆっくりの姿も見えないのだ。ていを追いかけていたらすぐにすれ違うはずなのに、それもない。 それに、ていは嘘つきだ。前にも『たいへんうさ! れみりゃがきたうさ!』と言われて騙されたこともある。 もちろん、ていも何となくおかしいとは思っていた。 確かに出会ったはずなのに自信がどんどんなくなっていき、内心では不安と混乱が渦巻いている。 「むきゅー……。てい、れみりゃはどこなの?」 「こっちうさ! たぶん、もっとむこううさ!」 ていは先ほどからそう言っているが、何の証拠もないのもまずかった。 命からがら逃げてきたのなら傷の一つくらいあってもいいのに、それもない。 そもそも一人だと、大人だってれみりゃから逃げるのは難しいのだ。 だから大人たちがその結論に達したのは、たとえゆっくりの餡子脳と言えでも当然の結果だろう。 「……ていはうそつきなんだねー! わかるよー!」 最初に切り出したのは、ちぇんだった。 次の瞬間、周りの大人たちも一気にていを責め立てる。 「ゆゆっ!? うそだったんだね! うそはゆっくりできないよ!!!」 「う、うさ? ちがううさ! ほんとうさ!」 「じゃあ "しょうこ" をみせるんだぜ! ないならうそなんだぜ!」 「しんじてほしいうさ! れみりゃはいたうさ!」 「それいじょういうと、さすがにとかいはのありすもおこるわよ?」 「ほんと……うさ……」 大人たちに一斉に攻められるのは、子供のていにはとても恐ろしい。 その大きな体と大きな声は、小さなていには持ちえないもの。 ていは返す言葉もなく、完全に委縮してしまう。 だがそこに、ぱちゅりーが助け船を出してくれた。 「みんなおちつくのよ! まだていはこどもなんだから、ゆるしてあげましょう?」 ―――もちろん、ていのことは全く信じていなかったが。 「…………」 (……ほんとうさ。しんじてほしいうさ) ていのその思いは、言わなければ伝わらない。 それなのに、言ったところで信じてくれない。 無情にも、大人たちは『ていが嘘をついた』ということを事実として決定した。 「…………」 「ゆゆっ! そういえば、かりのとちゅうだったんだぜ!」 「むきゅ。おちびちゃんたちがまっているわ!」 「ゆっ! そういえばそろそろ "てぃーたいむ" ね!」 「いそいでかえるんだねー! わかるよー!」 長であるぱちゅりーがゆるすというのなら、何の問題もないというのだろう。 大人たちに油を売ってる暇などない。 それぞれ自分の用事を思い出して去っていく。 「ぷんぷん! ぜんぜんゆっくりできなかったよ!」 「もううそはつかないでね! めいわくだよ!」 「れみりゃがいなかっただけよかったじゃない。むきゅん」 ていと『ていが嘘をついた』という事実だけが、その場にぽつんと残されてしまった。 ◇ ◇ ◇ 『――だから、ていはうそをいってないうさ! しんじてほしいうさ!』 『……おちびちゃんはゆっくりしているうさ。だからしんじるうさ』 『ありがとううさ……しんじてくれたのは、おかーさんだけうさ……』 「泣かせるね……いい親子愛じゃないか」 電池式のランタンを点けたテントの中。 俺はいま、盗聴器を通してあのていの会話を聞いていた。 というか見つからない位置にいる以上、こうして盗聴するぐらいしか向こうの様子を知る方法がないのだ。 やはりと思うかもしれないが、あのれみりゃは我が家のれみりゃである。 れいりゃ曰く『ぎゃお~! たーべちゃうぞー♪』と言いながら出る予定らしかったのだが、群れの近くに行く途中で見つかったらしい。 まあ結果オーライだ。うん、結果オーライ。 そのまま誰にも見られないようにこっちに戻って来るよう指示して、人工的なオオカミ少年のできあがりというわけだ。 「やっぱ、本当のことを言っても信じてもらえないのは辛いよな―――けどさ」 人間の感覚情報は8割以上が視覚だという。 つまり、この虐待は俺にとって8割以上がないようなもの。 ぶっちゃけ、俺、あんま楽しくない。 「早くネタばらしに入らないかなー」 まるでぐずる子供のように地面をゴロゴロと転がる俺。 でもビニール越しに石が当たるからすぐやめた。こんど家でやろう、うん。 「それならおにーさんも、ゆっくり "きゃんぷ" をたのしめばいいんだどぉ~♪」 「うぉっ! いつのまに中に入ってきた!? ……しかしまあ、それも一理あるか」 何もすることがないならキャンプを楽しめばいい。 たしかに筋は通ってる。れみりゃのくせになまいきな。 「―――お前に正しいことを言われるのは何か気に食わん。なあれみりゃ、なでなでと明日のぷっでぃ~ん抜き、どっちがいい?」 「うー♪ そんなのなでなでにきまってるんだどぉー♪」 「よし、言ったな? 後悔すんなよ?」 俺はさっそくれみりゃの頭をなでてやることに。 なでなで。 「うぅー☆」 なでなで。 「うぁー♪」 なでなで。 「うー……」 なでなで。 「うぅー! なでなではもういいどぉ!」 なでなで。 「ううぅー!? あついどぉ! やめてほしいどぉ!!」 なでなで。 「うわぁぁぁ!?! あたまがぉぉぉ!!!」 なでなで。 ◇ ◇ ◇ れみりゃにであってから一週間後、ていは群れの嫌われ者になっていた。 れいむも、まりさも、ありすも、ちぇんも、ぱちゅりーも。 大人から子供まで、ていは嫌われてしまっていた。 友達だったゆっくりも、いたずらにつきあうどころか話すらしてくれない。 「……なんで、ていをしんじてくれないうさ」 本当に、れみりゃにであった。 本当に、木の上から降りてきたふらんに襲われた。 本当に、ゆゆこが吸いこもうとしてきた。 本当に、れてぃが食べようとしてきた。 どれも命からがら群れまで逃げてきたのに。 群れに帰ってくるまで、すぐそこにいたはずなのに。 群れの仲間から返される言葉は、つらいものだった。 『ふらんはれみりゃよりゆっくりしてないのよ! にげられないわ!!』 『ゆゆこはすぐにすいこむんだよー! わかってねー!!!』 『ゆ? こんなにあついのに、れてぃがいるわけないでしょ? ばかなの? しぬの?』 言われてみればその通りだけれど、嘘ではないのだからていにはどうしようもない。 そのうち、ていは襲われても何も言わなくなっていた。そうすれば、嘘つきだと言われないから。 それどころか家に閉じこもってしまい、外で遊ぶこともなかった。 ていにとって、唯一の味方は "おかーさん" だけである。 ていのせいで肩身が狭い思いをしているにもかかわらず、ていの言うことを全て信じてくれていた。 まさしく、母親の鏡のようなゆっくりだ。 時々おかーさんは、ていをじっと見つめるときがある。 その視線はやさしいような、かなしいような……ていには良くわからないものだった。 人はその視線を哀れみというのだが、ゆっくりであるていに知る由はない。 「ゆっくりかえったうさ! さっそくごはんにするうさ!」 「わかったうさ。……おかーさん、いつもありがとううさ」 それでも、ていは幸せだった。 外ではあそべなくなったけれども、毎日おかーさんと一緒に食事ができる。 それだけで十分幸せだった。 「ゆっくりくろまく~♪」 幸せ、だったのに。 「……うさ?」 ていは、目の前でおかーさんがれてぃの舌にからめとられる様子を、呆然と見ていただけだった。 そしてていと同じ白いうさ耳が外に消えたかと思うと、長い静寂。 それが意味するところは一つしかない。 たべられた。 おかーさんが、たべられた。 ていの餡子はその情報を処理しきれない。処理をしたがらない。 こんなつらい現実を、認めたくなかった。 「…………」 どのくらい時がたったのだろう。それは須臾か永遠か。 再びおうちの中に、れてぃの長い舌が入りこんできた。 硬直してまったく動けなかったていは、簡単にれてぃの舌がからめ取る。 (……もういいうさ) ここ最近いろいろな出来事が多すぎて、ていの心は摩耗していたのだろう。 それは潔いくらいのあきらめ。 ていはむしろ、母親と同じところに行けるなら本望とも思えた。 口に入るその一瞬。 群れがあった場所にていが見たのは、捕食種のカーニバル。 れみりゃが長のパチュリーを襲い、ふらんが友達だったありすとまりさを串刺しにしている。 そこらじゅうでおうちの入り口が壊されているのは、れてぃがみんな食べたからなのか。 どこかでゆゆこが吸い込む音も聞こえるため、生き残るゆっくりは一匹もいないだろう。 皮肉にもその光景は、ていが嘘をついていないという完璧な証明であった。 ◇ ◇ ◇ 俺は夕日に照らされながら、キャンプの後片付けを終えていた。 明日からまた仕事だ。そう考えるとちょっとうつである。 でも、昔の偉大なる誰かさんは『忙しいから休日はありがたい』と言っていた。 そうだ、仕事があるだけましじゃないか。ワーカーホリック日本人だからこそ、休日はありがたいのだ。 ……休暇取ってる自分が言うことじゃないけど。 「お、戻ってきたか」 いくさんを除いた四匹が戻ってきた。 心なしかゆゆことれてぃの顔が満足げだ。いつも満足に食べさせてやれないでごめんな。 「それで、あいつはどうした?」 「くろまく~!」 れてぃが口から一匹のゆっくりを吐きだした。 例のていである。 ちょっと融けているのはご愛敬だろう。 「う、うさ……」 「よっ! 大丈夫か? 俺はお前に会いたくて待ち遠しかったから、こうして会えてうれしいよ」 「……うさっ!? な、なんでにんげんさんがいるうさ!」 「れてぃに連れてこさせたんだ。後ろ見てみろ」 その時後ろを向いたていの顔は、――割と良い顔だった。 今まで自分が見かけた捕食種が全てここにいるのだ。 群れのみんなに言っていたゆっくりが、全てここにいるのだ。 何を思っているかは知らないけれども、死ぬかも知れない恐怖に顔をゆがませているよりはよっぽど良い表情である。 「さて。いくさん、ちょっとこいつ持っててくれ」 「およよ。べとべとしますわ」 ていは何の抵抗も見せないまま、いくさんにあっさりと抱えられた。 ……しかし何だろう。良い表情が見えた後なのに、なぜかちょっと嫌な予感がするんだが。 「んーじゃあ、まずためしに。ていが見た捕食種は、全部このおにーさんが操っていました。どう思いますか?」 「……そううさか」 「おや? 俺のせいで群れのみんなから嫌われたり、おかーさんが食べられたりしたが、恨んでないのか?」 「……おかーさんをたべたのはゆるせないうさ。でも、もうどうでもいいうさ。ころすなりうさぎなべにするなり、すきにするがいいうさ」 「あっはっは、そうか。……こいつ、達観しやがったな」 まあいいか。もう一つの方に期待させてもらおう。 「じゃあ、おかーさんにもう一度会えるとしたら?」 「―――うさ?」 ◇ ◇ ◇ ていは、目の前のにんげんさんが何を言い出したのかわからなかった。 おかーさんに会えるとしたら会いたい。でも、どうしてここでそれを訊くのか。 あの時れてぃに食べられたのだ。生きているわけが……? 「れてぃ、もう一匹も頼む」 「ゆっくりくろまく~!」 レティの口から、黒髪に丸っこいうさ耳を生やしたゆっくりが現れる。 毎日見てたその姿は、間違えようがない。おかーさんだ。 そうだ、ゆっくり思い出せば、ていもこうやってここに出てきたはず。 ということは、そこにいるのは死体ではなく――― 「……おかー、さん?」 「はぁ? なにいってるうさ?」 ……え? 「ていにこどもはいないうさ。まったくしつれいうさね!」 ていは、おかーさんのこどもだよ? なんで、おかーさんはそんなこというの? 「いや、実はこいつ、俺が飼ってるていなんだ。お前のおかーさんじゃないの。わかるか?」 違う。そんなことはない。 だって、ていはおかーさんのことを見間違えるわけがない。 あそこにいるのは、おかーさんだ。 「まったく、あたまがわるいうさね。ていはおかーさんじゃないうさ。 バカなの? しぬの?」 「俺が入れ替えておいたんだ。ゆっくりりかいしてね!!!」 そんなばかな。 ていは、おかーさんをよく知っている。 優しいおかーさんを知っている。 ちょっとぐらい似ているからって、あんな性格じゃない。 「いや、そこはていの特性……演技能力だよ。ほら、よく嘘ついたり、演技でだましたりするだろ? あれといっしょさ」 「―――おちびちゃん、だいじょうぶうさ? いたくないうさ? とけているところをぺーろぺーろしてあげるうさ」 そこにいたのは、紛れもない "おかーさん" だった。 ていのことを子供じゃないといったゆっくりが、 "おかーさん" になった。 いつも優しくて、甘やかしてくれて、心配性な。 でも、あのゆっくりは "おかーさん" じゃなくて……あれ? 「こいつの演技はすごかっただろう? いたずらということで協力的だったのが良かったよ」 「うっさっさ。ずっとみすぼらしいゆっくりのふりはつかれたうさ」 おかーさんはみすぼらしくなんかない。 おかーさんはお前よりずっと素敵だった。 おかーさんは、確かにいたのだ。 「ああ、ちなみにお前の "おかーさん" は死んでるから」 「う~♪ でりしゃすだったどぉ~☆」 「……うそうさ」 「お?」 「うそうさっっっ!!!!!」 おかーさんは、生きている。 きっと生きてる。 だから、言わなければいけない。 それは嘘だ。 「ああそうだ。嘘だよ。―――そう言えば満足か?」 「いまならていのことを "おかーさん" とよんでもいいうさよ? げらげらげら!!!」 「うっさぁぁぁ!!! ちがううさ! おまえなんておかーさんじゃないうさ!!! うそうさ! ぜんぶうそうさ!!!」 「おいおい、酷いな。仮にもここ数日の "おかーさん" だろう?」 「こんなゲスはおかーさんじゃないうさ!!! ていせいするうさ!! うそうさっ! うそうさぁぁぁ!!!」 ていは一生賢明体を動かした。 ここを抜け出して、あの目の前にいるにんげんとゲスを殺さなければ。 そうしなければ、気が収まりそうになかった。 そのとき、ゲスがじっとこちらを見ていることに気づく。 そう、あれはおうちの中でも見た顔だ。 やさしいような、かなしいような…… ―――何もできないだろうと、思ってる目だ。 「うっざぁぁぁぁぁ!!!」 一生懸命体をひねる。 ふざけるな。何が何もできないだ。 殺してやる。 ゲスであるお前を殺してやる。 「ああ、ちなみにこれ、お前のおかーさんの餡子な? 余ってたからやるよ」 にんげんが黒い何かを出してくるが、そんなのはどうでもいい。 おかーさんは生きてる。 ぜったいに生きてるんだ…… 「うぞうざっ! おがーざんはぜったいにいぎているうざっ!!!」 「そんなに泣いていても説得力ないな。……もう死んでるって、わかってるんだろ?」 「ていならゆっくりいきているうさ! うっさっさ!」 「うっ、うぞうざ……ぜっだいに……」 「もういいぞ、自分に嘘はつかなくていい。――あとはゆっくりしろ」 「フィーバー!」 その時。 バチィッ! という音とともに、ていの視界は真っ暗に包まれた。 ◇ ◇ ◇ 「どうだ? いくさん」 「いくはくうきのよめる、おんなです」 「いや、それじゃ解らないんだが……」 ピクピクと動いているため、まあ生きているのだろう。よしよし。 ゆっくりは感電しても死ににくい。なぜなら餡子を吐く前に意識を失うため、内部の餡子が焦げなければ死なないのだ。 「いやしかし、今回の主演女優賞は間違いなくお前だよ、てい。あの演技は素晴らしかった」 「……そううさか」 ていの声は、子供のていを騙していた時のような元気が全くない。 さっきまでの生き生きとした表情がうそのようだ。 「おいおい、俺は褒めてるんだぞ? ―――本当の子供を、見事に騙せたんだからな」 俺がそう言うと、何かのタガが外れたのか、ていはぽろぽろと泣き出した。 さすがに母であるというべきか、子供と違ってうるさくない。 「うっ、うざっ……うざぁ……」 「さて、約束は守るぞ。約束通りお前とこの子供は生かしておこう。よかったな」 「うっうっうっ……うざっ……」 そう、俺はこいつに協力してもらった。 もしあのていに計画をばらすことがあれば、群れごと殺してやると脅しておいて。 最後に自分の子供を騙せなければ、同じように殺すとも。 これだけ捕食主がいたのが幸いしたらしい。割と素直に聞いてくれた。 この大きなていだって、母親になる前は一人前の嘘つきだったはずだ。 子供を助けるためならば、あのくらいの演技はできるということか。 母親の執念、恐れ入る。 「ああそれと、ここにつけておいた盗聴器は回収させてもらうな。……お前は見えないだろうけれど」 「……おちびぢゃんごめんうざ……おがーざんはおぢびぢゃんのこど、だいずきうざ……」 「まあ、まだ生きてるんだ。チャンスは残ってるって。 ――それじゃあ、いくさん!」 「フィーバー!」 バチィッ! 「うざっ……」 そして母親のていも、苦悶の表情で気絶した。 気絶しても苦しんでいるとは。 身を削って産んだ我が子を否定したのは、それほど辛かったのだろう。 ……いや、逆に我が子に否定されたことの方が辛かったのかもしれない。 「さて、全部終わったし帰るか。……どうしたれみりゃ?」 「なんでおっきいほうをもってるんだどぉー?」 「この母親か? とりあえず適当なところで置いていくつもりだ。 あの子供は気絶したまま置いとくが……まあ、運が良ければ死なないさ」 ◇ ◇ ◇ 家に帰ってから、今回録音した音声を編集している時にふと思った。 あのていの親子が生き延び、再び出会ったらどうなるのだろう。 母親は喜んで子供に声をかけるだろう。それは間違いない。 だが、子供の方はどうなのか…… 相手が "おかーさん" だと認めるのだろうか? 怒りに身を任せて殺そうとするのだろうか? 俺は本当の母親は死んでいると思いこませたかったが、うまくいったのだろうか。 それだけはちょっと気がかりだ。 まあ、何にしても一つだけ解ることがある。 自分がおかーさんと言ったって、一度騙された相手を完全に信用するわけがない。 ……いくら言ったところで、次に出会った時には信じてくれないだろうさ。 あとがき 一日に一作ペースは無理があった。 とりあえず、まずは『B級ホラーとひと夏の恋』以上の作品が作れるように修業します。 SSの基礎から勉強し直すよ…… 前に書いたもの ゆっくりいじめ系2744 B級ホラーとひと夏の恋 ゆっくりいじめ系2754 ゆっくりできないおみずさん ゆっくりいじめ系2756 ゆっくり障害物競走? ゆっくりいじめ系2762 れみりゃはメイド長 ゆっくりいじめ小ネタ517 見えない恐怖 このSSに感想をつける
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--------- ★<滋賀県> ●【問合わせ先】:滋賀県土木交通部住宅課公営住宅担当 〒520-8577大津市京町四丁目1‐1 電話:077-528-4234(直通) ●【制度の概要】:罹災証明書。避難区域内居住。被災証明書。が必要。 ・仕事 当面(1年以内)の就労の場の確保を考えている。求職者総合支援センター相談員による、就労や生活の相談を実施。 ・学校 高等学校 ・・・現1年生と2年生については、転入学手続きを簡略 化し、面接で決定します。現中3生については、新入学に関して特 例的かつ柔軟に対応。 小・中学校・・・居住予定地の市町教育委員会と連携して進める。 ・生活福祉資金貸付において、被災された皆様に対する緊急小口資金の特例貸付が実施。貸付金額は、 原則10万円以内。特に必要と認められる場合20万円以内まで貸付。 PDF http //www.pref.shiga.jp/bousai/ukeiregaiyo.pdf ●【募集開始日・期間】:即日入居可 ●【お申込み方法】:申請書などの証明書類と共に来訪。代理人でも短期間 ●【対象地域・対象者】:証明書が取れる方。 ●【費用負担】:六ヶ月間無料。最大1年。光熱費は自己負担。 ●【受入先】:各県栄住居。 ●【受入件数】:21個/5,16。各市、町でも別の物件あり。http //www.pref.shiga.jp/hodo/e-shinbun/hb00/413teikyoujyutaku.pdf ●【電話確認】: --------- 携帯の方はここまでです。 上に戻る
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「ふたば系ゆっくりいじめ 1089 ユグソウ プレリュード/コメントログ」 ゆーさつってwwあまり頼りなならないな -- 2010-12-12 22 08 45 野良を駆除した善良ゆっくりを爆殺するなんて犯人は何が目的なのか? ···っていうか爆弾を無許可で使用する事件は本物の警察の仕事だろ! -- 2018-01-26 16 53 08
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『ゆっくリズム』 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくりと呼ばれる饅頭みたいな生き物が人間の男に近づき、にこにこ笑いながらゆっくりしていくことを強要してきた。 この人間にもゆっくりしてほしい、そんな気持ちから笑顔で今日もゆっくり流のあいさつを人間にする。 ちなみにこのゆっくりは、まりさ種と呼ばれるもので、黒い薄気味悪い帽子を被っていて、金色の長くて綺麗な髪をもつゆっくりである。 これまでに挨拶した人間はみんな「ゆっくりしていってね」と笑顔で挨拶を返してくれた。 だから、この人間も笑顔で挨拶を返してくれる。まりさはそんな人間達が大好きなのだ。 だけど今回の人間はゆっくりまりさの期待している行動とは全く別の行動をとったのだ。 男は、ひょいっとゆっくりまりさのサッカーボールくらいの大きさの顔を、頬のあたりを掴んで片手で持ち上がる 「ゆっ! ゆっくりやめてね」 驚いているゆっくりまりさを男は無視する。 持ち上げたゆっくりまりさを片方の腕で「ぽすっ」と口と顎の中間辺りを叩く。 人間でいえばこの辺がお腹になるのだろうか? 顔しかない生き物だからよくわからない… が、ここをお腹と仮定する。 出産する時のゆっくりは口と顎の中間辺りから子供を産むと聞くから、ここがお腹だとは思われる。 「ゆっくりやめてね」 少しぷくっと膨れた顔で怒るゆっくりまりさ。 力を全く入れずに叩いただけなのて平気らしい。しかし男は何回もゆっくりのお腹を叩いていく。 「たたくのはゆっくりやめてね!」 「ほんとにまりさおこるよ!」 「ゆっ! ゆぶっ… ゆぶっ!」」 いくら力を入れないパンチといってもそれを何回も入れられるとゆっくりにとっては効いてきたらしい。 「おぅおぅ、言うね言うねぇいっちょまえに! こぉのゆっくりが!」 どんどん殴る速度を速め力も入れていく。 「ゆぶぅ゛!! ゆぶぅ゛!!」 今度は地面に仰向けの状態でゆっくりまりさを下ろし、マウントポジションを取ると、両手で殴る。 小刻みにリズムを取りながら、さらに速く速く殴っていく。 「悪いのは、この口か? この口か?」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 規則正しいリズムの音がゆっくりを殴りながら聞こえてくる。 「も゛う゛… や゛べでぐだざい… ぐぶょ!!」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ まりさの言葉などには耳を貸さずに殴り続ける男。 そして仕上げに、思い切り強く平手を喰らわせる。 バシィィー!! 「ぶべあ゛ぁぁぁ゛!!」 いい音と声がした。そのまま5mくらい地面をぼよんぼよんとバウンドしながら飛んでいくゆっくりまりさ。 俯けで倒れたまま動かない。 男は倒れているゆっくりまりさに近づくと、ゆっくりまりさの帽子を取ってみる。 すると帽子を取られた事にはすぐに反応し、ずるずると起き上がった。 「や゛… やめてね… まりざのぼうじをかえしてね…」 ぼろぼろの顔で帽子を返せと言ってくる。 そんな言葉には耳をかさず、男は帽子を両手で持ち、力を入れてばりばりと真っ二つに破り捨てた。 これにはゆっくりまりさも大ショック! 大粒の涙を流し泣き始めた。 「ま゛ま゛りざのぼう゛じが゙あ゙あああああ!!!」 今度は帽子を失ったゆっくりまりさの長い髪をつかみ持ち上げる。 「ひ゛どい゛よ゛おじざん!! ぼうじを゛ぼうじ゛を゛がえ゛じで ごびゅ!!!」 ゆっくりまりさを地面にびたんと叩きつけ、再び両手でお腹を殴り始める。 「おぅおぅ言うね言うねぇ! こぉのゆっくりが!」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「お゛おじざん… やべでぇ!」 再びゆっくりを殴るリズムが始まった。 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「ゆっくりの癖に調子くれて帽子なんか被りやがって…」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「おまけに、ゆっくりの癖に綺麗な髪しちゃって」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「しかも髪の色は金髪… おしゃれさんだねぇ」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ 「ぼ… ぼぅ… ゅるじでぐだ… ざぃ」 か細い声でそう訴えかけるゆっくりまりさ。 男が我に返ると目や口から餡子が漏れ出し、潰れた饅頭に変形していた。いくら軽く殴っていたとはいえ殴りすぎたようだ。 だからといってやめる気配は一向になかったが。 バシィィー!! もう一度、仕上げに本気の平手をお見舞いする。 「ゆびゅ゛う゛お゛え゛え゛え゛ぇぇぇ」 ものすごい奇声を上げ、ごろごろと転がっていくゆっくりまりさ。 そして、ピクピクと痙攣したまま動かない。 そんな事はお構いなしに再びゆっくりまりさの長い髪をぐいっと引っぱり持ち上がる。 「ゆ゛…」 殴られすぎてもはや何かを喋る気力さえないゆっくりまりさ。 ゆっくりまりさは思う。これだけ殴られた自分にまだ何をするのだろう? でももうこれ以上は殴らないだろう、だからこのまま目をつぶってやりすごそう。 無抵抗の自分を殴るほどこの人間も酷くはないだろう。 そう思いながら目を閉じてやりすごそうとする。 「おぅおぅ言うね言うね! こぉのゆっくりが!」 その言葉で閉じようとしていた眼がぐわっと開く。 「ま゛! ま゛り゛ざなにもい゛っでな゛ぐべぁ!!」 タタタン♪ タタタン♪ タタタン♪ もちろんゆっくりまりさは何も言っていない。男に対して最初から「ゆっくりしていってね!」しか言っていない だけどその「ゆっくりしていってね!」が男の怒りにスイッチを入れてしまったのだ。 そして、このゆっくりまりさは日が暮れるまでリズム良く殴られ続け、フィニッシュには平手をお見舞いされるを繰り返された。 ギリギリで生きてはいるが元の形に戻るには時間がかかることだろう。 おわり ゆっくりまりさは、ゆっくりの中でもいぢめたいNo1です。 人を見下したような表情、卑怯な性格、黒い帽子、長い金髪。 これだけ揃えばいじめたくなります。 でも、このお話に出てくるゆっくりまりさは良いゆっくりまりさです。 何もしてないのに可哀想ですね。 このSSに感想を付ける